
2009年より毎年開催されているコンテストです。
箱根で作られてきた「秘密箱」のように、どうにかしないと開かない箱のアイデアを募集し、
入選作品に選ばれたら実際に職人がからくり箱として製作します。
アイデアコンテストは一年中ご応募いただけます。
応募用紙を印刷して、郵送かFAX、メールにてご応募下さい。
応募用紙はこちら(PDFファイルが開きます。)
※ご応募は日本国内のみとなります
< 第14回 からくり箱アイデアコンテスト入賞作品 >
2022年の入賞作品の発表です。
どれもこれも、面白いアイデアばかり。
審査員講評も併せてお楽しみ下さい。
◇第一次審査審査員◇
小野澤力(角田屋物産店)
坂本忠之(ワンダーラボ株式会社)
高島直昭(パズル懇話会)
岩原宏志(からくり創作研究会)
★賞決定投票について★
7月16日~8月31日
クラフトえいと・関所からくり美術館にて入選作品の
展示を行い、 どの作品がどの賞にふさわしいか投票をしていただきました。
その結果、それぞれの作品が以下のように受賞となりました。
第14回 デザイン大賞 「恐竜のおなかがあく⁈」
発案者:吉良 頼
製作責任者:角田 遥(からくり創作研究会)
獰猛そうな恐竜が今にも襲いかかってきそうです!
あの口に嚙みつかれたらひとたまりもありませんね。
ストーリー的にはごく自然かつとてもシンプルですが開けるには勇気が必要かも?!
オブジェとしてもお楽しみいただけます。

第14回 びっくり大賞 「火山」
発案者:田淵 蒼人(神奈川県)
製作責任者:岩原 宏志・川島 英明(からくり創作研究会)
そびえたつ火山をモチーフとした作品です。
幾分とがり気味の八角錐の形に仕上げました。
富士山のように冠雪した姿にしたいとも思いましたが、火山をイメージする色合いとしました。
頂上の材料である桂神代は、かつて本当に火山などの地殻変動で埋もれた木であるかも知れません。
噴火口をのぞくと赤いマグマがたっぷりと溜まっています。
熱いのを我慢して(?)指で押すと、少し動くようですが…。
さて、火山はどのように開くでしょう?

第14回 ユニーク大賞 「バナナ」
発案者:田中 智陽(神奈川県)
製作責任者:加生 修(からくり創作研究会)
箱の側面に人のシルエットがあります。
その人を前進させると、一緒に引き出しが途中まで開きますが、
そのままでは引き出しのフタを開けることはできません。
おや、よく見ると足元にバナナの皮が!あとはご想像ください。
開け方はとても簡単です。ユーモラスな仕掛けの動きをお楽しみください。

第14回 お気に入り大賞 「ビンのふた」
発案者:小野 直子(神奈川県)
製作責任者:菊池 靖明(からくり創作研究会)
瓶の蓋が固いわけでもないですが、簡単には開きません。
「瓶」という身近で日常的に使い慣れているものだからこそ、
有効的で面白い仕掛けとなりました。
縞々で可愛らしい瓶ですが、頭を柔らかくして挑戦してみて下さい!

2022年からくり箱アイデアコンテスト 審査講評
応募アイデアの第一次審査をさせて頂いた4人の審査員の内の一人、高島直昭です。
このたび入賞されました皆様おめでとうございます。
また、展示された作品に関心を持っていただき投票くださった皆様ありがとうございます。
そして、アイデアを現実のからくり箱として仕上げてくださったからくり創作研究会の職人の皆様ありがとうございます。
このアイデアコンテストも今回で14回目、また、からくり創作研究会の主催で行われるようになってから4回目になります。
2020年初頭から新型コロナウィルスによる感染の拡大が始まってもう2年をこえるのにその拡がりは終息に向かうきざしは見られません。そのためか、全国から応募いただいたアイデアの件数は合計79件という数に留まりました。
今回は、坂本忠之、小野澤力、岩原宏志、そして私の4人が審査員として第一次審査を行わせていただきました。その方法は昨年同様、コロナウィルスの感染状況を考慮して審査員が自宅等で個別に審査するという方法としました。第一次審査の結果は、詳細設計および製作を担当されるからくり創作研究会の職人の皆さんによる第二次審査に引き継がれて入選作品を決定した次第です。
第一次審査では、応募されたアイデアを、当然ながらどこの誰からの応募作品であるかを知らされずに全部一つずつよく拝見させて頂いて検討しました。応募頂いたのは、完成したからくり箱ではなく、それがどのように動作するのかというアイデアでありました。
そこで、第一次審査にあたっては、そのアイデアが他人のまねではないものであることや、一筋縄では開けることができないものであるということだけではなく、それができたら沢山の人が楽しむことができるかどうかも考慮しました。こうして選ばれた作品について職人の皆さんによって、それが本当に製作できるものなのかどうかについての検討も含んだ第二次審査を行って、4つの作品の入選を決め、それを発案者と相談しながらみごとなからくり箱として実現していただきました。
なお、これは毎年申し上げているのですが、入選作品に与えられたいくつもの名前の賞の間には上下の順位はありません。4つの作品それぞれが、順位の付けられない個性的なすばらしさを持っている作品であります。
皆様もその実物に触れて作品のすばらしさ、楽しさを味わっていただきたいと思います。
前々回は、入選4作品のうち3作品が若者の作品でした。そして前回はこれとは年齢構成が異なり、入選5作品のうち10代の若者の作品は2作品という少数でした。そして、今回は、また、前々回と同様、入選4作品のうち3作品が若者の作品となりました。今回の特徴としてはその若者が、揃って10歳未満の方々であったことです。その3作品、すなわち「恐竜のおなかがあく!?」、「火山」、および「バナナ」は、それぞれ異なる趣がある革新的なアイデアの作品です。これまでの若者の作品は、主に日常生活で出会ったできごとにテーマを見つけ、面白いアイデアを作品にしてくださっていたことが多かったのですが、今回は、日常生活からさらに視野を広げた、「恐竜」や「火山の爆発」などをテーマにされていて、大人やプロでもなかなか思いつきにくいような発想をからくりにしていたのに感動しました。
応募作品数は、例年より少なかったのですが、入賞4作品のアイデアの質のレベルは例年にひけをとらない内容だったことをうれしく思っております。
なお、このコンテストは、4月1日から翌年3月末日までの1年間を応募期間のひと区切りとする常時募集で、大人も子供も普段から考えているアイデアやふとしたことから思いついたアイデアをいつでも応募できます。これからもこれまでにない新しい、そして楽しいアイデアが寄せられることを期待しています。
最後に、このコンテストを支援くださっておられる多くの皆様方に感謝いたしましてこの審査報告を終えたいと思います。
2022年9月1日
髙島直昭