2009年より毎年開催されているコンテストです。
箱根で作られてきた「秘密箱」のように、どうにかしないと開かない箱のアイデアを募集し、
入選作品に選ばれたら実際に職人がからくり箱として製作します。
アイデアコンテストは一年中ご応募いただけます。
応募用紙を印刷して、郵送かFAX、メールにてご応募下さい。
応募用紙はこちら(PDFファイルが開きます。)
※ご応募は日本国内のみとなります
< 第16回 からくり箱アイデアコンテスト入賞作品 >
2024年の入賞作品の発表です。どれもこれも、面白いアイデアばかり。
◇第一次審査審査員◇
小野澤力(角田屋物産店)
坂本忠之(ワンダーファイ株式会社)
高島直昭(パズル懇話会)
岩原宏志(からくり創作研究会)
第16回 びっくり大賞 「ON!」
発案者:牧野 靖也(山梨県)
製作責任者:加生 修(からくり創作研究会)
スイッチのついた箱です。切り替えたい。何が起こるかわからないけど切り替えたい。
OFFからONにつまみを上げようとしても、上がりきれません。あなたはONにできるでしょうか。
仕掛けは簡単ですが、解けたときにちょっとした洒落を利かせてあります。
第16回 ワクワク大賞 「シーソー箱」
発案者:飯島 健(神奈川県)
製作責任者:角田 遥(からくり創作研究会)
小熊たちがシーソーで遊んでいます。
彼らは兄弟。同じ時に産まれて同じように育ち、重さも同じ。
シーソーの傾きが引出しを開けるヒントになっています。
第16回 ユニーク大賞 「平和はあくしゅから」
発案者:照井 伸吾(東京都)
製作責任者:杉本 昇(からくり創作研究会)
実寸大の手のついた箱です。以前作った手は仕掛けのない飾りでしたが、今回のものは仕掛けがあります。
ぜひ実際に手に取って握り心地を確かめて下さい。握手することで解決への道が開けるかもしれません。
第16回 からくり箱アイデアコンテスト 審査講評
このたび入賞されました皆様おめでとうございます。そして、アイデアを現実のからくり箱として仕上げてくださったからくり創作研究会の職人の皆様ありがとうございます。
このアイデアコンテストも今回で16回目、また、からくり創作研究会の主催で行われるようになってから6回目になります。
今回、全国から応募いただいたアイデアの件数は合計144件となりました。
第一次審査は、前回と同じく、坂本忠之、小野澤力(つとむ)、岩原宏志、そして私の4人が審査員として、場所も前回と同じ小田原のからくり工場の一室に集まって討議するという方法で行ないました。この結果は、詳細設計および製作を担当されるからくり創作研究会の職人の皆さんによる第二次審査に引き継がれて入選作品が決まりました。
第一次審査では、応募されたアイデアを、誰の応募作品であるかを知らされずに一つずつよく拝見させて頂いて検討しました。応募頂いたのは、完成したからくり箱ではなく、それがどのように動作するのかというアイデアでありました。そこで、第一次審査にあたっては、そのアイデアが他人のまねではないものであることや、一筋縄では開けることができないものであるということだけではなく、それができたら沢山の人が楽しむことができるかどうかも考慮しました。こうして選ばれた作品について職人の皆さんによって、それが、アイデアの趣旨を生かしながら本当に製作できるものなのかどうかについての検討も含んだ第二次審査を行って、3つの作品を選び、それを発案者と相談しながらみごとなからくり箱として実現していただきました。
また、それぞれの作品にふさわしい賞の名前を決めていただきました。毎年申し上げておりますが、この入選作品に与えられた賞の間に上下の順位はありません。3つの作品はそれぞれ順位が付けられない異なる魅力があって、革新的で、個性的なすばらしさを持っています。皆様も是非その実物に触れて作品のすばらしさ、楽しさを味わっていただきたいと思います。
ユニーク大賞の「平和はあくしゅから」は、今、世界を揺るがしている戦争をやめて平和を取り戻したいという切なる願いをテーマにしたものでしょう。
また、ワクワク大賞の「シーソー箱」は、遊具のシーソーの動きと箱を傾けるという操作とを結びつけて(発想はどちらが先か分かりませんが)、親しみのある楽しい作品に仕上げていると思います。なお、この発案者は、前回のコンテストでも「あみだくじ」で入賞されています。
びっくり大賞の「ON!」は、平和達成やシーソーといったテーマをもったからくりではなく、箱根に伝わる秘密箱のように、純粋に箱を開けるトリックに革新性を求めて考案されたものといえるでしょう。
これらの入賞作品を見ると、このような魅力的なからくりのアイデアを着想する日頃の心がけがどうあったらいいのかのヒントが隠されているように感じます。
前回も書きましたが、おそらく、このアイデアコンテストの入選作品群は、普段から独創的なアイデアのからくりを作り続けているプロ達にも、よい刺激を与えているものと思われます。
このコンテストは、4月1日から翌年3月末日までの1年間を応募期間の区切りとする常時募集で、大人も子供も普段から考えているアイデアやふとしたことから思いついたアイデアをいつでも応募できます。これからもこれまでにない新しい、そして楽しいアイデアが寄せられることを期待しています。
最後に、このコンテストを支援くださっておられる多くの皆様方に感謝してこの審査報告を終えたいと思います。
2024年8月吉日
髙島直昭